■緒言
顎口腔領域の悪性腫瘍は、全身悪性新生物の4〜5%を占めると言われ、最前線の臨床歯科医師によって発見される事が多いことが知られている。また、一人の歯科医師が、5〜6年から長くとも10年に1回は、顎口腔領域悪性腫瘍に遭遇するという推計もなされている。
悪性腫瘍は直接的に生命の危機に関わるとともに、顔面をはじめ頭蓋、眼窩など枢要な臓器に隣接し、咀嚼、構音、呼吸などの機能に関わっている顎口腔領域への手術・治療によって大きな顔貌の変化や機能障害を伴うことが多いため、より早期の発見・治療がなされなければならない。しかしながら、早期の場合ほとんど自覚症状がなく、しかもその病態は実に多様であり、他の粘膜疾患や良性腫瘍との鑑別がしばしば困難を究めることも少なくない。
当院では開業以来の16年間で8例の悪性腫瘍を経験したので、それらの症例について以下に報告する。 |